個人再生自己破産で学資ローンや生命保険は解約になるの?

個人再生自己破産で学資ローンや生命保険は解約になるの?

自己破産や個人再生をしたとき、生命保険などの保険や学資ローンはどのように扱われるのでしょうか。

子どもがいる人なら「債務整理をしても、できるだけ子どもに影響が出ないようにしたい」と考えるのが人情です。

特に、将来子どもの進学資金となるはずの学資保険は、できれば解約したくないでしょう。

いざというときに役に立つ生命保険も同様です。

ここでは、学資ローンや生命保険などの保険が自己破産や個人再生をしたときに、どうなるのかについてまとめます。

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生命保険や学資ローンと債務整理の関係をおさえておこう

どんなものが債務整理の対象になるの?

生命保険などの保険類は、個人の財産です。

自己破産以外の債務整理では、個人の財産に直接タッチすることはありません。

しかし、自己破産では、個人の財産も債務整理の対象となり、ルールに従って処分されます。

一方、学資ローンは業者から借りたお金、つまり負債なので債務整理によって減額される対象です。

負債は自己破産ならすべて免責され、個人再生でも大幅に減らすことができます。

学資保険は子どもの財産じゃないの?

学資保険は、保険契約者と被保険者、保険金受取人の三者で構成されており、被保険者が子になっているのが一般的です。

そのため、自己破産や個人再生の整理対象にならないのではないかと考える人もいます。

しかし、実際に支払いをしているのが契約者である親であれば、親の財産として扱われます。

資産目録とはどんなもの?

自己破産と個人再生は、裁判所によって進められる債務整理です。

そのため、まずは裁判所に申立てをして手続きを開始します。

このとき、裁判所に提出する書類のひとつに「資産目録」があります。

「資産目録」とは、その時点で保有している財産の一覧表で、現金はもとより預貯金や退職金、契約している保険や有価証券などといった価値ある財産を記載しなくてはなりません。

さらに、過去2年以内に解約した保険と、その解約返戻金を記載することも求められます。

資産目録には正確に記入する必要があり、財産を隠しても裁判所の心証を悪くするだけです。

保険は解約されるの?

自己破産では、保険も債務整理の対象となるため、解約を余儀なくされることがあります。

生命保険や学資保険を途中解約すると、積み立てた期間に応じてお金が戻ってきます。

これを解約返戻金といいます。

この解約返戻金が財産の一部とみなされるのです。

一方、個人再生では、保険を強制的に解約することはありません。

 

自己破産では解約返戻金が20万円を超えたら没収対象!

自己破産で没収されないもの

自己破産では、没収できない財産(自由財産)の範囲が決められています。

99万円以下の現金、差押禁止財産、新得財産の3つは、自己破産しても所有し続けることが可能です。

このうち、新得財産とは、破産手続きの後に取得した財産のことです。

また、差押禁止財産とは、生活していくために最低限必要な財産で、冷蔵庫やテレビ、パソコンなどの家電製品をはじめ、日用品や給与債権の4分の3などが該当します。

自己破産しても、このような自由財産を失わなくて済むため、ある程度は安心できるでしょう。

20万円を超える解約返戻金は没収対象

保険や定期預金、自動車などについても、自由財産の拡張を申請して認められれば、現金と併せて99万円までの分については所有を認められることがあります。

一方、価値が20万円を超える財産を破産財産と呼び、清算されて債権者への返済に充てられます。

生命保険や学資保険の解約返戻金が20万円を超えているなら、没収の対象になるのが原則です。

自己破産には2つの種類がある

自己破産手続きには「同時廃止」と「管財事件」という2つの種類があります。

破産財団がなく、差し押さえをする必要もないなら、自己破産は「同時廃止」扱いになり、手続きはスピーディーに終了します。

一方、清算すべき財産があると「管財事件」となり、裁判所から選任を受けた破産管財人によって財産の清算が進められます。

管財事件になると、破産管財人の活動資金に充てる予納金を、裁判所に納めなくてはなりません。

 

自己破産は裁判所によって運用が違う

特定の破産をどちらの手続きで処理するかは、それぞれの裁判所の運用に委ねられています。

どのくらいの価値のものを破産財団とするかについても一様ではありません。

そのため、解約返戻金が20万円を超えている場合でも、自由財産の拡張を申請して認められれば、保険を解約しなくてよい場合があるのです。

自己破産で解約返戻金が20万円超えたらどうする?

解約返戻金が20万円を超えるときにできること

解約返戻金は、計算で求めることが可能です。

そのため、裁判所に資産目録を提出するときに、実際に保険を解約しなくても問題ありません。

もしも、解約返戻金が20万円を超えているなら、没収の可能性が高まります。

没収を回避したい場合、自由財産の拡張を申請することが大切ですが、解約返戻金そのものを減額することも可能です。

契約者貸付を利用する

生命保険や学資保険では、解約返戻金の範囲内で契約者にお金を貸し付ける「契約者貸付」というサービスを提供しているケースが少なくありません。

解約返戻金は、もともと契約者自身のお金なので、焦げ付いても業者は損をしないからです。

「契約者貸付」を利用すると、その分だけ解約返戻金を減額できるため、20万円以下にまで減らせる可能性があります。

保険を解約して生活費に充てる

自己破産の前に生命保険や学資保険を解約しても、自己破産できなくなることはありません。

解約した行為自体が、破産管財人の否認対象事由や、自己破産の免責不許可事由になることはないのです。

ただし、解約した保険の使い道については厳しくチェックされます。

解約返戻金を親戚や知人に預けて隠したり、特定の債権者に優先的に返済したりすることは禁じられています。

もしこれに背くと、自己破産ができなくなるだけでなく、破産法に抵触して罪に問われることがあります。

解約返戻金を、法律専門家費用や裁判所費用、生活費などに充てた場合、その分を解約返戻金額から除外することは可能です。

解約返戻金が20万円以下になれば、同時廃止が認められることもあります。

ただし、裁判所に対して解約返戻金の使い道をきちんと説明できるよう、記録をとっておくことが大切です。

解約してもタイミングによっては現金とみさなれない?

生命保険や学資保険を自己破産の「直前に」解約すると、現金ではなく保険のままの形態として扱われることがあります。

そうなると、解約返戻金を生活費などに充てて減額することができません。

直前とは、どのくらいの期間を指すのでしょうか。

自己破産や個人再生では、弁護士に代理人を依頼するのが一般的です。

契約締結後に弁護士は債権者全員に受任通知を送付し、それ以降取り立てができないことを知らせます。

この受任通知の送付後に解約した保険は、現金としてではなく保険として扱われる可能性があります。

 

学資保険で契約者を変更するのはNG!

夫が自己破産する前に、学資保険の契約者を妻に変更しようと考える人が少なくありません。

ところが、この行為は財産隠しとみなされる可能性が高く、免責不許可事由に該当すると自己破産そのものができなくなります。

個人再生なら生命保険や学資保険を解約する義務はない!

個人再生では生命保険や学資保険を解約しなくてよい

個人再生とは、裁判所に債務を圧縮してもらう債務整理の方法で、裁判所が確定した弁済額を、通常3年~5年かけて支払っていきます。

個人再生では、生命保険や学資保険などの保険を強制的に解約させることができません。

ただし、そのような財産があると、弁済額が高くなります。

つまり「保険を解約しなくてもいいけど、そんな余裕があるなら毎月の支払いも増やす」ということなのです。

保険の解約返戻金の金額が最低弁済額を押し上げる?

個人再生は、金額こそ減るものの債務を自分で返済していく債務整理です。

そのため、支払わなくてはならない最低弁済額というものがあります。

債権額が1,500万円未満なら最低弁済額は債務額の5分の1、または100万円です。

ところが、解約返戻金が最低弁済額より高額だと、解約返戻金が最低弁済額の基準になってしまうのです。

事実上解約するしかない?

たとえば、借金が300万円、財産が50万円の場合で考えてみましょう。

この場合、通常なら最低弁済額は100万円です。

これを3年で返済するなら、100万円÷12カ月÷3年=約2万8,000円ずつの支払いで済みます。

ところが、これ以外に200万円の解約返戻金があると、現金と併せて250万円の清算価値があるとみなされ、最低弁済額は250万円となります。

これを3年で返済する場合、毎月6万9,400円を支払わなくてはなりません。

債務整理が必要な人にとって、毎月約7万円を支払っていくのは難しいため、事実上保険を解約するしかないというのが実情です。

債務整理で生命保険や学資保険を解約したくないなら専門家に相談を!

家族や子どものためにコツコツと貯めてきた生命保険や学資保険を、債務整理で解約したくないのは当然です。

ところが、債務整理で保険を解約しないで済むというのは簡単ではありません。

自己破産では、没収を回避できるのは原則解約返戻金が20万円以下のものに限られ、個人再生では解約返戻金が最低弁済額を押し上げてしまいます。

没収を回避したり上手に返済したりする方策があるとしても、個人で対処するのは難しいと言えるでしょう。

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